一人ひとりの物語に出会える宿業の面白さ
黒潮の家女将の上原麗さんにお話を伺いました。
学生の頃から、衣食住をコーディネートすることや、人と話すのが大好きだったという上原さん。大学を卒業後、旅館やホテルのスタッフとして勤務するなど、宿泊業に携わってきました。「お客様とお話しすると、ある出来事について、その方のフィルターを通して感じたことや、考えていることが聞けます。毎日ドラマを見ているようで、本当に楽しいです」。
そんな中、コロナ禍に突入。当時、別の接客業として働いていた上原さんも、自分と向き合う時間が増えたことで、本当は従業員ではなく自分で宿をやりたかったのだと思い出し、物件探しをはじめました。
建物の管理を任された方と共通の知り合いがいたというところからご縁が繋がり、最初に話をしてから約2ヶ月というスピードで宿の立ち上げを行い、上原さんは黒潮の家の女将として、運営をしていくことになりました。
建物のオーナーが大切に維持してきた家屋の良さを活かすため、照明を取り替える程度で、内装はほとんどそのまま。民家の懐かしい面影と、器好きの上原さんの集めた食器や温かみを感じます。
ゆったりとした時間が流れる場所で、リフレッシュしながらワーク
黒潮の家は、一棟貸しのため、ご家族連れでの宿泊も大歓迎。部屋数も多いので、リモート会議をしている間、家族は別室でくつろぐこともできます。各部屋にコンセントはもちろん、Wi-Fiもしっかり通っているので安心。
入野海岸や黒潮町立大方図書館もすぐ目の前なのでリフレッシュを兼ねてお散歩をするのもおすすめです。上原さんのイチ押しは、長期滞在。お一人で仕事をしながら一週間ほど滞在される方も多いのだとか。そして黒潮の家の縁側には移動式サウナもあるので、誰にも邪魔されない、貸切状態で整うこともできます。外気浴がてら、海まで散歩をする方もいるのだとか。
海に近い立地ながら、土佐入野駅も徒歩で訪れることができるため、アクセスは抜群。車の運転に慣れていない方にもピッタリです。ドラッグストアやコンビニも徒歩圏内にあるので、急な買い出しの際にも安心です。
土鍋ご飯やマリンアクティビティまで!自然の豊かさを思う存分楽しめる
上原さんは、宿のオーナーの他に「土鍋ごはん おたふく」として活動していて、利用者の希望に応じて土鍋を使ったお料理を提供してくれます。「土鍋は食材のおいしさを引き出してくれるだけでなく、みんなで食べると食卓を囲むことになりますよね。そこで生まれるコミュニケーションに楽しさや豊かさに気づくことができると思うんです」。土鍋で炊いたふっくらつやつやのご飯だけでなく、野菜蒸しや焼肉、スープなど、土鍋の概念を覆すようなお料理が味わえること間違いなしです。
そして、海の豊かさも楽しめるのが黒潮の家。SUPやサーフィン、シーカヤックなども事前連絡をすれば、体験することができます。マリンスポーツは夏のイメージがありますが、春や秋の清々しい時期に体験するのもおすすめ。黒潮の家には貸し出しのビーチサンダルもあり、海へのお散歩が楽しめます。
訪れる人が「心の荷下ろし」をできる場所
心も体も解放し、海からの風を感じながら過ごせる黒潮の家。
「私は『港の人』でありたいと思っています。訪れる人が荷物を積んだり、下ろしたりする場所。そんな場所にいると、港に寄った人が素敵なお土産話を落としたりしてくれるんです。そんな港のような場所に黒潮の家もなっていったらいいなと思います」。
その言葉のように、これからもたくさんの方が、重たい荷物を下ろし、心身ともにリフレッシュして、すっきりとした状態で物事と向き合える場所です。
(文・写真 檜山諒)