おだやかで快適な古民家に囲まれる、やさしい滞在
のれんをくぐり、門から入ると現れるのは、美しい木造の建物に囲まれた、緑豊かな庭のある素敵な空間。明治時代の初期の頃に建てられた蔵など、築120年ほどの建物7棟ほどから成る古民家宿です。当日は宿主の池田敦子さんにお話を伺いました。
こちらは2008年4月頃、四国特有の文化であるお遍路宿としてスタートされたそう。2019年からはお遍路さんに限らず一般の方にも宿泊が可能になりました。母屋と離れ・蔵の棟があり、洗面や洗濯、珍しい木樽のお風呂は共用となっています。
古民家でありながらワークがしやすい配慮も
かつて建材メーカーで働いており建築や造園が好きだったご主人の生家を、お二人で少しずつ手入れをしながら営業をしてきたそう。ワーケーションでの利用もしやすいようにと、Wi-Fiやデスク、モニターやプリンターも導入されました。長期滞在にもオススメです。
グループ利用に適したミーティングルームのある母屋棟は6部屋を1〜6名で贅沢に利用可能。離れ棟は1〜5名で、蔵棟は1名でのんびりと過ごすことができます。それぞれデスクや可動式の椅子が備わり、モニターが備わるお部屋も。それぞれのワークスタイルに合うお部屋があるのもうれしいポイントです。
「吉良川のまちなみ」をぜひ散策して
宿の建築も含め、この吉良川地区はまちなみが保存されたエリアで、国の文化財として「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されています。室戸市は備長炭の製造が今でも行われており、この吉良川の地区も、もともとは備長炭と共に繁栄した先人の手により建てられた建築が多く残っています。まちを歩くだけでも土佐漆喰の白壁や水切り瓦、半分に割った石を積み上げた壁など、その雰囲気を楽しむことができます。
また、少し歩けば海岸にも出られ、まちには喫茶や居酒屋も。食用の備長炭を使った飲食も気になります。
宿の壁や装飾もこの地区ならではの自然と共に暮らす工夫がたくさんあり、訪ねてみると宿主の敦子さんとの会話も弾みます。建築好きの方、歴史やまち歩きが好きな方にもオススメです。
(文・写真 横田佳歩)